成長と時間感覚と記憶

時間に対する感覚は、成長するにつれて長くなっていきます。
たとえば、幼稚園児に一か月先のことをイメージするのは無理でしょうし、一か月前のことはあまり鮮明に覚えていないと思います。幼稚園児にとっては一か月前のことは遥か昔のことで、一か月先のことは遥か未来であるわけです。

遥か昔のことは、忘れてしまう。そして、この「遥か昔」は絶対的な時間である必要はありません。主観的に「昔」と感じれば、その子にとっては遥か昔になります。つまり、時間の感覚が短い状態では「長期にわたって何かを記憶しておく」ということが難しい。そういうことだと思います。

また、大人というのは安定した人格をもっている存在、スタンスがはっきりしている人のことです。
人格は過去の記憶の集積によって構築されるものですから、安定した人格がある、ということは過去の記憶が集積されていることの証です。言い換えれば、時間の感覚が伸びて記憶できる事柄が増えていなければ大人にはなれない、ということだと思います。


・時間の感覚が伸びる
・記憶力が上がる
・人格が安定する

おそらく、これら3つは相互に作用しあって絡み合う、複雑な関係になっていると思います。
しかし、子どもたちの状態をよくみて、この相互作用にこちらが上手に手を貸すことができれば、飛躍的に子どもたちは伸びることは分かっています。実際そうやって伸びていった子も多数おります。

ただ、いつどういう状態でどうなるのか、どうすれば手を貸せるのか。
こればかりは唯一無二の正解は無いところが、難しいところです。

できない理由もいろいろ

(1)yはxの2乗に比例してx=2のときy=4である。yをxの式で表せ。

は、あっさりできるのに、

(2)yはxの2乗に比例してx=60のときy=18である。yをxの式で表せ。

になると、突然できなくなる。そんな子はたくさんいます。
これをもって「この子は数学が苦手だ」と判断するのは簡単ですが、何も解決はしません。何故できなくなってしまうのか、その理由を見破らなくてはなりません。

・大きい数字になると四則演算の精度が著しく落ちる。
・何を何で割るのか分からない。
・方程式の解き方があいまいになっている。

このあたりの理由で、計算ができないのかもしれません。

・分数が出てくる答えは違う気がする。
・数字が大きいとやり方が変わるような気がする。
・商が1より小さくなる割り算を無意識に避けてしまう。

これらはもう本人の勝手な思い込みとイメージでしかないのですが、こんなイメージが解くことを邪魔することもあります。

・大きい数をそもそもイメージできない。
・(1)はグラフをイメージできるけど、(2)はイメージできない。

大きい数になると想像の範囲外になってしまう。
算数時代から数をイメージせずに、ただただ数字合わせの計算を重ねてきた子はこうなってしまうことも、ままあります。

これらの原因が複合的にからまって、結果として

「(1)はできるけど(2)はできない」

という結果が生まれます。

我々はその子ができない理由を見極め、どこをどこからどうやって改善していくのか考え、適切に対応をしていかなければなりません。そのための少人数制の授業でもあるわけですから。

とまあ、文字にすると簡単なのですが、実際にやるのはとても大変です。まだまだ、もっと上手くなりたいなと日々思っております。はい。

絵文字を使わない理由

私は、この日記やら、メールやら、Twitterやら、いろいろなところでネットに駄文を書き連ねていますが、その中で全く絵文字やスタンプの類を使いません。せいぜい(笑)と(汗)くらいです。いいおっさんがこういうのを使うのが恥ずかしい、というのも少しはありますが(笑)、それ以外にも理由はあります。

絵やスタンプ一つで、自分の気持ちや状況を端的に伝えることができるのは、確かに便利です。

しかし、人間というものは一度便利を覚えると堕落する生き物です。

便利なものに頼り始めると、初めは「便利だな」で済んでいたものが、気が付けば「それ無しではどうにもならなくて困ってしまう」。
実際、すでにいろんなもので、そういう状態になってしまっています。

もちろん、「どうにもならない」状態でも困らないようなものであれば良いのですが、何分相手が言葉です。
言葉は自分の思考と人格に直結しています。それが衰えてしまう事態は、職業上、何としても避けなければなりません。


さらに言えば。

生徒達は、我々が「絵文字やスタンプといったものを使わない」ということを知っています。

だからかどうかは分かりませんが、私に何か連絡をしてくるとき、例えばメールやTwitterのDMを送ってくるときは、生徒たちもそういうものを使わずに、日本語だけの文章を送ってきます。

普段、友人や家族とのやり取りで、絵文字やらスタンプを使ってコミュニケーションを取ることに慣れきっている子が、日本語だけの文章を、しかも、間違った言葉遣いをしないように書かなければいけないのは、大変でしょう。実際、結構なプレッシャーがかかるそうですし、送る前に何度も何度も推敲するようです。

そういうことは大人になっても日常的にしなければいけません。子どものうちにそういう経験をたくさんするのは、とても大事で大切なことだと思うのです。

ただ、私が絵文字を使ったところで、新風館の生徒たちは我々に送るメールに絵文字は使ってこないかな、とは思います。
それでも、子どもらに普段から正しい日本語を使うように要求するなら、大人の側も正しい日本語を使うように心がけた上で、実践しているところを子どもらに見せなければならない。そうも思うのです。

やるからには主体的に

おそらく多くの大人がそうだと思うのですが、今現在多々あるアイドルグループ(48とか46とかがついたりする、メンバーが大勢いる類のグループをご想像ください)の区別がつかない人が多いかと思います。

よしんばグループの区別がついたとしても、そのグループ内の個々人の区別がきちんとできる大人は、あまりいないと思います。

理由は簡単で、そういったものに興味も関心も無いし、覚えることに意義を見いだせないからです。

実は、これと同じことが、子どもたちの間でも起こっています。
もちろん、勉強に対する彼らの姿勢がそれです。

彼らは親や先生から「やれ」と言われるから、または、「やらないとまずそうな社会の空気」を察して、とりあえず勉強という行為はしています。しかし、気持ちの奥底では「興味も関心も無いし、覚えることに意義を見いだせない」。

そんな気持ちでいる子は、大人が思っている以上に多い。そう思います。


では例えば、何かのきっかけで、アイドルグループのメンバーを覚えようとしたとします。
しかし、いざ覚えようとしても、何のヒントも無く、ただ漠然と覚えていくのはおそらく難しいと思います。

メンバーの顔と名前を一致させるためには、例えば髪型であるとか、立ち位置であるとか、何かキーになるポイントを定めて覚えていくのではないかと思います。その際、普段からそのアイドルグループを見ていて良く知っている人に、何をどう覚えるのが効率的で間違いがないか、ポイントを教えてもらうことができれば、覚えるのは早いでしょう。

さらに、覚えることでどういう良いことがあるのか。どう役に立つのか。
そんなことがもしあるのであれば、教えてもらえるとモチベーションが上がるかもしれません。


しかし、そういったアドバイスが生きるのは、あくまでも「主体的に覚えようとしている人」だけでしょう。
そうでない人に対しては、どんなアドバイスをしようが、何度も何度も同じことを言われようが、結局覚えられない。覚えさせようとした人の努力は、おそらく無駄になるはずです。


何かを始めようとするとき、その始めるきっかけは何でもよいと思います。
そして、場合によっては始めた当初は嫌々やることもあるでしょう。それでも構わない。

しかし、一度始めたからには「自分が始めたことだから」と納得し、「やるからには主体的にやろう」と思うこと。
最低限そのラインはクリアしないと、何かができるようになったり、何かが上達することはない。私はそう思います。

深く理解するために

「ここから1km歩いたらどこまで行ける?」
「重さが1kgくらいのものって何かな?」
「死ぬ気で1分全力疾走したら何mくらい走れる?」

こういう質問を、たまに生徒に投げかけます。
残念ながら、新風館に通ってまもない子は、ほぼ答えられません。

1kmが1000mであることを知っていても、それが一体どのくらいの距離なのかが分からない。
1kgが1000gであることを知っていても、それが一体どのくらいの重さなのかが分からない。

「別にテストの点数を取るだけなら、知らなくてもええやないか」と思われる方もおられるかもしれませんが、果たしてそうでしょうか。

たとえば、長さの話で言うならば、地図で1km先にあるものを確認してみたり、実際に1km歩いてみたり(スマホを使って距離を測るのもいいかもしれないです)すれば、より1km、1000mというものを深く理解できるでしょう。

1mmずつ線を10本書けば1cmが作れ、1000本書けば1mが作れます。
たくさんの1mmで1mができていることを簡単に理解することができますし、たくさん書いたことはなかなか忘れられないでしょう。

このように、頭だけでなくて別の側面、五感で体得した長さや重さは、やはり理解の深度が違います。
こういう理解が骨太の学力を作り上げていくのだと、私は思うのです。

塾長の北風が本を出しました。



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